ミュウがパスワードを設定した
僕はノートPCに向かって、ある登録のための設定をしていた。
なんやかや入力し、パスワード設定のところで少し考えた。どんなパスワードにしようかと。パスワードほど面倒なものもなかなかないと思う。
すぐには思いつきそうにないので、とりあえずトイレに行くことにした。
その時、ミュウとすれ違ったような気がしないでもない。
トイレから出て部屋に戻ると、ミュウがパソコンのキーボードの上で香箱を作って目を瞑っていた。体はキーボードから少しはみ出している。そして、妙に落ち着いた雰囲気を漂わせており、僕が部屋に戻ってきたことに当然気付いているのにあえて知らんふりをしている。
つまりミュウは、”わたしは今、非常に安定した精神状態にある。だからわたしに構わないでほしい。”というオーラを発散しているのであった。
どうするか?せっかく落ち着いているミュウを退かせるのはちょっとかわいそうである。でも、このままではいつまでたっても設定が終わらないので、ミュウを退かせることにした。
ミュウを抱えてPCの横に退かせると、ミュウはちょっと不機嫌そうにその場に座った。
パスワードの設定をしようとモニターを見ると、パスワードのセキュリティ強度が”強”になっている。まだ入力していないはずなのに。
パスワードを入力するボックスには”・・・・・・”が延々と続いている。
どうもミュウがキーボードに乗り、香箱を作っている間にパスワードを入力したようだ。
僕が、”ミュウ、パスワード教えて”と聞いたら、”知らん!”と答えたので、しょうがなく僕は入力し直すことにした。
ミュウが入力したパスワードはものすごく長かった。僕の能力では絶対に覚えられないだろう。
僕が入力し直しているときもミュウは、キーボードに乗ってこようとした。
僕はそれを手で制したが、ミュウは割とグイグイ押してきた。キーボードに執着しているようだ。
しばらく、ミュウのおでこと僕の手で押したり引いたりの駆け引きが続いたが、結局ミュウは”また来る。”と言って部屋を出て行った。
ミュウが入力したパスワードなんだったのか。またしても謎が残った。
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