後姿考

街を歩いていると、後姿がちょっと気になる人が目について、その人をつい目で追ってしまうことがある。街にたくさんの人が歩いている中で、なぜその人の後姿が気になったのか、その理由はいつもはっきりしないのだが、その人の後姿もしくは背中から何かが発散されており、その発散されている何かに僕の何かが反応して気になってしまうという、もう何かよくわからないことが起こっているような気が何かしている。

ミュウとシャケにも当然後姿はあるのであって、そこから何かが発散されているのかと言われれば、そこは猫とは言えども何かを発散しているようである。

 シャケは割と活動的であり、また、その後頭部が襟足の髪の毛をパッツン切りした小学生のようであるから、その後姿から、きっと小学生男子のような無邪気な表情をしているんだろうと勝手に思い込み、いざシャケの前に回り込んでみると、二日酔いで気分がダウナーなオッサンのような苦み走った顔をしていたりしてびっくりすることがある。後姿から想像する相手の表情というのは、見ている自分サイドの願望とか勝手な妄想によりビジュアルを作っているだけであって現実とはかけ離れているものなのだなあ、などとそんな風に思うのである。誤解のないように言っておくが、僕は、街で見かけた気になる後姿の人の前に回り込んでそのお顔を確認するなどという、礼儀に反するようなことは一切していない。そこんとこよろしく！

一方、ミュウの場合であるが、ミュウはシャケのように表情が豊かというわけではないので、前に回り込んで顔を確認しても、まあだいたい想像通り、いつも通りなわけだが、ミュウの後姿はバットマンのようであるなあ、といつも思っていて、ミュウが無表情andやる気なさそうな感じでバットモービルに乗ってジョーカーと戦っている姿を想像してしまう。

とまれ、背中が何かを語る、などということもあながち間違いではないのかもしれない。せいぜい街を歩くときは、背筋を伸ばすようにしようと思う。背筋を伸ばすのも最近疲れるが。