シャケに、僕のくだらないこだわりを簡単に否定された
夜、部屋で読書をしている時、爪が伸びているのが気になった。
僕はこういうのがすごく気になる。
すぐにでも爪を切らないと気持ち悪くて仕方ない。
これは、こだわりというほどのことではないが、僕には小さなこだわりのようなものがたくさんある。
他人からしてみるとほんとにどうでもいいことだけど、それを守らないとちょっと気持ち悪いみたいなね。
爪が伸びたら気持ち悪いっていうのもその一つである。
だから、さっそく爪切りを持ってきて、爪を切り始めた。左足の親指から取りかかって、一本だけ切り終わったところでシャケが部屋に入ってきた。
部屋に入ってきたシャケは、いつものように僕の膝で寝てしまった。
このままでは爪切りができないではないか。
しかも、まだ左足の親指しか切っていない。
でも、せっかく膝で寝ているシャケを起こすのは忍びない。かわいそうだ。
しょうがなく僕は爪切りを断念して、しばらくシャケの寝顔を阿保のような顔で眺めていたが、読書を再開した後、眠くなったので、結局はシャケを退かして、その日はそのまま寝た。
では、僕は次の日起床してすぐに爪を切ったか。切らなかった。
どうでもよくなっていた。
それから三日後に僕は爪を切った。
こだわりなんてララーラララララーラ〜。
僕がこだわりだと思っていたことを、シャケは、膝で寝ただけで、どうでもいいことにしてしまったのだ。
今回の爪切りは小さなこだわりだけど、そもそもこだわりなんて、本人の自己満足以外のなにものでもなく、それを捨て去って身軽になった方がどれだけ楽だろう。こだわりって、結局は思考停止して楽になるための言い訳のような気までしてきた。
こだわりなんてそんなもんだとシャケが教えてくれた夜。
今、シャケは僕の隣で欠伸をしている。
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