ミュウとシャケの爪切り
ミュウとシャケの爪切りは僕の仕事である。
といっても僕ひとりではできない。
なぜならミュウもシャケも爪切りが嫌いだからである。なので、妻が抱っこして僕が切るという役割分担をしている。つまり、妻は逃げないように捕まえているわけだ。
妻は、ミュウが胡座をかくような格好で膝に乗せ、ミュウの手を前に差し出す。
この時のミュウは、電子レンジで加熱されてでれーってなっている餅から手が生えているようである。
この時点でミュウは爪を切られることがわかっていて、”嫌なんだけど、マジで。”などとぶつぶつ文句を言いながら顔を背け、ふてくされている。
そんなことをいっても、爪を切らないと、ミュウもあちこちに爪を引っ掛けたりして危ないので、爪を切るためにミュウの手をそっと掴む。
ミュウは手をサッと引っ込める。
その手を僕はまた掴む。
ミュウはまた手を引っ込める。
餅から手が出たり引っ込んだりしているようでちょっと面白いし、かわいい。
ってなことを何回か繰り返してミュウの力を確認した後、引っ込められないくらいの握力で手を掴んで、ミュウの肉球の先っぽのところをキュッと摘むと、爪がにゅっと出てくるので、それを切る。
ミュウは一旦切られはじめると、すぐに諦めておとなしくなる。
シャケもミュウと同じく爪切りが嫌いである。
そしてミュウ同様、妻の膝に乗せられて、手を出している。
阿保のような顔をして抱っこされて手を前に出しているが、その目つきからは逃げるチャンスを窺っていることが読み取れる。油断できないやつである。
この爪切りが終わったら、僕はまた単身赴任先に戻るため駅に向かう。
2匹の爪がそれほど伸びないうちにまた帰ってきたいと思いながら、僕は爪を切っている。
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