シャケとクー(とミュウ)のぬくぬく日記

仲良く喧嘩するシャケとクー(とミュウ)の日記

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猫の印象はちょっとしたことで変わる

ある日ミュウの顔を見るといつもと印象が違うように思う。

いつもちょっとふくれっ面というか不機嫌そうな表情だが、今日はなんだかすこし明るい感じがする。

ミュウに近づき、しげしげと顔を観察してみると、猫の額のあたりがほんのりと赤くなっている。

別に出血して赤くなっているわけではないようだ。

妻に、”この赤くなっているのはなぜなのか”、と尋ねると、”娘がモフモフした時に口紅が付着したものであろう”、との回答を得た。

”なるほどね”、などと思いながら、更に、”こんなちょっとしたことで印象というのは変わるものなんであるなあ”、とも思ったのである。

つまり、見た目というものは案外重要なようである。

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 話は変わって、僕の職場は若い人がとても多い。

彼らの年齢は僕の娘たちとほぼ同年代、つまり20歳台である。つまり、自分の息子であってもおかしくないような若い人たちである。

なので、僕は彼らと業務以外で積極的に関わることを避けてきた。

なぜか。

僕が20歳台のまだ若かった頃、同世代の仲間との会話に、自分の父くらいの人たちが無理に話を合わせて入り込んでくるのを、”あまりかっこいいものではないのではないか”、と思っていたからである。

 

なので僕は、職場で、”昨日のドラマ観た?”などというような会話はいっさいしたことがなかったのであるが、数か月前のある日、そんな若いメンバーの数人から、”今度飲みに行きませんか?”というお誘いをなぜか受けて、それ以降、そのメンバーで月イチの飲み会を開催しているのである。

 その飲み会では、業務や職場環境等に関する本音がガンガン語られ、僕は、職場の本当の姿を知る良い機会になったのだが、当然仕事の話ばかりしているわけではない。

 

ある日の飲み会で、メンバーのひとりが、”髪を明るく染めたいんですけど大丈夫ですかね?”ということを聞いてきた。

僕個人は、そんなことはまったく問題ないと思っているが、お偉方がどう感じるかはわからない。

そこで僕は、”では今度、僕が髪を明るく染めてこよう、それでお偉方がなにも言ってこなかったらOK、なにか言ってきたらNGという判断をしようではないか”と提案したのだった。

 

僕がなぜそのような提案をしたかについては理由がある。

僕はここ数年、白髪が増えてきており、僕はそれを放置していたのであるが、家族からの評判はおそろしく悪い。

”もっと身だしなみを整えた方が良い、みっともない、うざい”、などの意見が多数あった。

そんなこともあり、”まあこれも良い機会だから、ちょっと髪を染めてみるか”などと酒の勢いもあり提案したのだった。

 

そして髪を染めてからの初出社の日、僕は年甲斐もなく若干緊張していた。

しかしその日、誰も僕の髪の色の変化について話題にする人はいなかった。

 

ミュウの場合、額がちょっと赤くなっただけで印象が変わり、どうしたのか、と気になるのに、僕の髪が明らかに明るくなっても誰も気にならないようである。

これはどういうことなのか。

そう、誰も僕に関心がない、ということである。

 

僕は仕事を終え、いつものように自転車で帰路に就いた。

夕日が赤かった。

 

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