最近あった出会いと別れ

春でもないのに、最近いくつかの出会いと別れがあった。

まずは別れから。

以前、数年間、北九州市に単身赴任していたことがあった。その時、家から歩いて行けるところに小さな飲み屋街があって、その中の一軒（立ち飲みの店）に僕は毎週木曜日にひとりで飲みに行っていた。サッポロ生ビールを一杯とワイン（たまに日本酒）を一or二杯、ポテサラなんかをつまみに飲みながら、店主や常連さんとどうでもいい話をして帰る、ということを数年続けているうちに僕は異動で北九州を離れることになったのであるが、その後もなにかとその店に飲みに行っており、そこに行くようになって6～7年経ったのではないだろうか。先日、その店の店主から、”諸事情により店を閉めることになった”、というメールが来て愕然となった。愕然となるほど、僕がそこで飲むのが好きだった理由を考えてみると、『自分のことをまったく知らない人だけがいる空間』で飲むことがなんか心地良かったのではないかと思う。僕はその店に会社の人間を連れていくのがとても嫌だった。会社の人間と一緒にいるということは、結局、組織の一員としての自分を引きずっているということで、突き詰めれば、それって職場で仕事をしているわけではないが、最初に言ったように結局は組織の一員としての自分でなければならず、ひいては、組織の一員として酒を飲んでいるような感覚になってしまうわけで、それってやっぱり堅苦しくて面白くない。だから、誰でもないひとりのおっさんとして酒が飲めるこの店がなくなるのはとても辛いのである。

 次に出会いだが、これは二つある。まずは一つ目。

バイクを購入した。つまり、バイクとの出会いである。僕が出会ったバイクは、ホンダのクロスカブ（JA45）110ccである。車種の選択および納車にかなり時間を要したこともあり、手元に来るまで相当時間がかかったが、ついにバイクが来た！30年振りのバイク。なにはともあれ無事故運転を心掛けたい。写真をご覧になって、既にお気づきの方もいらっしゃると思うが、ヘルメットがでかいのは僕の頭がでかいからである。

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そして、もう一つの出会い。

僕は名実ともにおじいちゃんになった。『実』は既におじいちゃんだったわけだが、『名』もおじいちゃんになったのである。そして、おじいちゃんになる原因となった孫と娘は我が家で生活している。産後だからである。そして、その原因たちはおもにリビングルームあたりにいる。そうなると、猫一倍、警戒心が強く臆病なシャケはリビングルームに近寄らない。でも、エサとか水はリビングルームに置いてあるので、飲み食いの時だけフラっと立ち寄って用が済んだら帰っていく。僕の部屋に。まるで、北九州の立ち飲み屋に行っていた僕のようである。ポテサラをつまみに軽く飲んだら帰る、みたいなね。

出会いも分かれも唐突にやってくる。そして、僕は唐突におじいいちゃんになり、唐突にクロスカブのオーナーになり（これも唐突である）、唐突に居場所を一つなくしてしまった。そして、そういったものは僕の感情をなにかとざわつかせる。

それにしても、家族が増えるというのは、良いものである。唐突だけど。