シャケと厳島神社と山下達郎
船を下りて少し歩くと、鹿たちが歩いていた。鹿たちは、周囲の人間を恐れるようなことはまったくなく、寧ろ、自分達から人間たちのほうへ近寄っていっている、つーか、人間を追いかけているようなものもいる。どうも、なんでもいいから食べるものをくれっ!という意思表示をしているようである。
”あの鹿の歩き方、なんかシャケみたいだね~。”なんて会話を妻としながら僕たちはさらに歩く。途中で揚げもみじとか焼き牡蠣などを買い、それを食べながらさらに歩いていくと、大鳥居が見えてきた。ちょうど潮が引いているのか、鳥居の周りには人が数人集まって写真を撮るなどしている。青い空と白い雲と赤い鳥居、トリコロールやなぁ、そして人多いなぁ、なんて思いつつ、足場の悪さを顧みず少しでも鳥居を近くで見ようとする人たちの熱意に感心しつつ、僕はスマホのシャッターを切った。スマホって正確にはスマフォじゃね?なんて思いつつ。
僕たちは宮島の厳島神社に来たのである。
入口で初穂料を支払い、参拝をした。家内安全、商売繁盛、孫の健やかな成長などを祈願し、妻がコレクションしている御朱印を書いてもらおうと受付に行ってみると、5~6名ほどの行列ができている。列の最後尾に並んでいると、御神籤が目に留まった。
せっかく来たのだから引いてみるか、ということになって、妻が列に並んでいる間、僕は御神籤を引きに行ったのである。
番号が書かれたスティックが入っている容器をガチャガチャ揺すった後、容器をひっくり返すとスティックが飛び出てくる。そのスティックに書かれた番号の引き出しに入っている御籤がその人の運勢というわけである。
今時、自販機みたいな御神籤もある中、なかなかいい感じやん、なんて言いながらスティックのナンバーを確認し、引き出しの中のペーパーをすっと取出し、どれどれと見てみると、『凶』であった。
妻が並んでいる御朱印の列に戻ると、ほどなく妻の順番になった。御朱印帳を差し出すと目の前で書いてくれるシステムである。
しかし、御朱印を書いている人から、今日は参拝してくれてありがとう!ここは素晴らしい神社だからきっといいことあるよ。努力はきっと報われるよ!だからみんな明日を信じて一緒に参拝しようよ!みたいな波動を感じることはできず、ただ機械的に書いているというヴァイブスだけがびしびし伝わってきた。それはなぜか?同じ作業をずーっと繰り返し続けているからである(と思う)。まあ、気持ちはわかるよ。そりゃあ、飽きるよね。などと思いながら振り向くと、御朱印の列は30人ほどに伸びていた。御朱印の人の仕事はまだまだ終わりそうにないが、頑張ってほしい。
その後、僕たちは広島市のホテルにチェックインし、山下達郎のコンサートに行き、クラッカーを鳴らすなどして楽しい時間を過ごしたのだった。
次の日、僕たちは帰宅したが、僕たちが(というより妻が)家を留守にしていたことで、シャケが少し拗ねているようだった。
凶の御神籤には、これから先、しばらくいいことないよ、と書かれてあったので、僕も少し拗ねている。
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