猫はなにげなく様子を伺っている
シャケは退院してからというもの、さらに臆病な性格に拍車がかかったようで、インターホンの呼び出し音が鳴ればタンスの上に逃げ込むし、急に玄関が開くなどすると、とても驚いて物凄い勢いでダッシュしている。
まあ、それも無理はないと思う。なぜならシャケはまだ2歳であるが、なにかとバタバタした2年間だった。
まずは生まれて間もなく捨てられて、その後拾われて僕たちの家族になり一安心と思ったのもつかの間、歯を抜かれる手術を受けるなど、まあ忙しい。
そんな感じなので、シャケの退院後僕たち家族はつい、”シャケー、シャケー”などとシャケとたくさん関わろうとして、シャケを呼ぶことが多くなったような気がする。
先日も僕がカメラを構えて、”シャケー”などと猫でもないのに猫なで声を出して呼んでいたところ、シャケは、無視を決め込んでいるが尻尾だけはパタパタさせる、などして、”聞こえているけどめんどくさいので相手にしない。”というオーラを発散させながらゴロリと横になっていた。
その時、僕はなにかを感じて視線をずらしてみた。
そこで僕の視界に入ってきたのは、少し上目使いでなんの感情もないような視線をこちらに向けて座っているミュウであった。
いや、ミュウはなんの感情もない視線を向けていたのではない。
すこぶるクールな視線を向けていたのである。
僕とミュウの視線が交わったが、ミュウは目を逸らさない。
そこで僕がミュウに近づいてモフモフしたお腹を撫でると、ミュウは気持ち良さそうに目を閉じたのだった。
ミュウはなにげなく僕たちの様子を伺っているようである。
スポンサードリンク
にほんブログ村