猫それぞれ
ミュウは、ベランダに出てフェンスの隙間から外を見るのが好きである。
だから、ベランダの窓を開けると、ミュウはすぐにベランダに出ていく。そしてベランダを少し歩いた後、フロアとフェンスの下の狭い隙間に顔をくっつけて、外を見始める。
ミュウは生まれてこのかた、一度も外の世界を知らないから、とにかく興味があるんだろう。飽きることなく、ずっと外の世界を見ている。
マンションの前の道路を走るクルマやバイク、歩いている人、目の前を横切る鳥などを目で追いかけている。
ミュウは外に出たいのか、僕にはわからないが、確実に言えるのは、ミュウは外の世界で生きていくことはできないだろう、ってことである。
以前、僕が赴任していた野良猫がとても多いところがあったが、そこでバッタを咥えている猫を見たことがあった。
最初僕は、猫の口のあたりになにかが付着していると思い、それを取ってやろうと近づいてみるとバッタを咥えていたので驚いたのであるが、ミュウにそんなことができるとはとても思えない。
一方のシャケは捨て猫だったので、当然外の世界を生きてきたわけであるが、ベランダの窓を開けても絶対に外に出ようとしない。
”もう外は勘弁してよ”ってことなのかもしれないが、シャケがベランダに出ないことについて、僕はちょっと安心もしている。
というのも、シャケはミュウと違いとても身軽である。ということはどういうことかというと、ベランダのフェンスに飛び乗って隣家に行く、なんてことをやろうと思えば簡単にできるはずである。僕はシャケがそういう行動を取るのではないか、と心配していたのである。
でもそれは杞憂に終わったわけで、僕は良かった良かったと思っているのである。
外の世界を知らないミュウが外の世界に興味を持ち、外で生きてきたシャケが外には出ようとしない。
猫それぞれであるなあ。
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