夏が好きな猫
毎日暑くて嫌になる。
どれくらい嫌かというと、具体的なことを書くことで僕の人間性を疑われてドン引きされると思うので、具体的なことは書かないがとにかく嫌である。
そんな僕も若い頃は夏が大好きで、夏が終わりに近づいてツクツクボウシが鳴きだしたりすると、こっちまで泣きたくなるほどだったが、年齢を重ねるにつれ、だんだんと夏が嫌いになってきたのである。
なぜ、そんなに嫌になったのかというと、年のせいか、あまり暑い日が続くと死んでしまうんじゃないか、などと生命の危険を感じるようになってきたからである。
まあ、昔と違って、今は連日35度オーバーだから仕方がないかもしれない。
そんなわけで僕は夏が嫌いになったのであるが、ミュウは夏が好きなようである。
夏が好きというか、暑いのが好きなようだ。
というのも、この猛暑のため、我が家はエアコンをフル稼働しているのであるが、ミュウはエアコンが効いていない部屋でいつも寝ているのである。
僕たちが外出する時も、家の中が暑いだろうと思い、エアコンを運転したままにしておくのだが、帰宅すると、ミュウは必ず別の部屋からのそのそと出てくるのである。
さらに、洗濯物を干したり取り込んだりするためにベランダの窓を開けると、ミュウは、”このチャンスを待っていました”、と言わんばかりに、ささっとベランダに出てしばらくまったりするのである。
この暑さのためベランダはかなり焼けていて、かなりの熱を持っているのだが、ミュウは、”それがむしろ気持ちいい”、みたいな感じで、気持ちよさそうに香箱などをつくっている。
ミュウを飼うことになったペットショップの人は、”この猫は暑さに強くないですから”と言っていたはずであるが、どうもミュウには当てはまらなかったようである。
夏が大好きなミュウにとって今年の夏はきっと最高だろう。
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