家人の就寝後、僕はひとり部屋で読書などをするのだが、なぜかシャケはそこに一緒にいることを自分の義務としているようで、ほぼ必ずと言っていいほど僕の膝にいる。
先日もそのように、シャケが僕の膝で寝ており、”かわいいやつめ”などと思って見ていると、シャケが大きな欠伸を2度ほどした。
”のんびり欠伸などをしている”と僕が思った直後、なんともいえない臭いが鼻をついた。
”くさっ!”
翌朝、そのことを妻に話すと、”シャケは以前からそのような臭いを口から発している、もしかすると、なんらかの病気ではないか”という回答だったので、”それはいかん!”ってことになって、インターネットで調査してみると、猫にも歯周病がある、という結果が得られた。そこには、最悪歯が抜け落ちてしまう、ということが書かれており、僕は少し目眩を覚えた。
では、というので、シャケの歯茎を見てみると、なんか赤い?ミュウを見てみると、赤くない。
これって、歯周病ってことで間違いなくね?ってことで、さっそく病院に出向いたのだった。
シャケ1歳6ヶ月、最大のピンチである。
シャケを病院に連れて行くには、当然、家の外に出る必要があるのだが、シャケは野良時代に怖い体験をしたのか、見知らぬ人や外の世界を恐れる性格であるのだが、そうも言っておられないので、シャケをケージに押し込め、クルマで病院へと向かった。
その間シャケは、これまで聞いたことのないような声で鳴き続け、がたがた震えるなどしており、なんとも可哀想ではあったのだが、歯周病で歯が抜けるという事態を食い止めるために、心を鬼にして病院に連れて行ったのだった。
ほどなくして病院に到着、”先生!シャケを一刻も早く診てください!”って診てもらった。
”どれどれ”、とシャケの口の臭いを確認する先生。
”猫の臭いってこんなもんじゃない?”
なんてことを言って、助手の女性2名にも臭いを嗅がせた。
”うちの猫の方が臭いかも”
”こんなもんじゃないですか?”
”歯周病では?”と僕。
”まだ若いから、たぶん大丈夫”と半笑いの先生。
ミュウがあまりにも無臭すぎて、シャケの臭いに過敏になっていたようである。
その後帰宅し、シャケをケージから出すと、すぐにソファの下に潜り込んだ。
ここは、見知らぬ来訪者などがあったときにとりあえず非難する、シャケのセーフティ・エリアである。
シャケにとって、外の世界ってのは、ほんとにこわいところのようで、ミュウと違って外出は相当のストレスのようである。
シャケ、ごめんね。
でもシャケが病気じゃないことが確認できて、僕たち夫婦はとても安心したのだった。