ミュウがクルマでお迎え
僕は単身赴任先からJRに乗り、自宅の最寄り駅に降り立つ。
僕は駅舎を出てコンコースに向かう。見慣れたクルマが外灯の明かりの下に停まっている。妻が迎えに来てくれている。帰ってきた実感が湧いてきた。
ここからはまだ車内の様子は見えない。
クルマに近づくと、助手席に娘が乗っているのが見えた。娘も付いてきてくれたようだ。
後部座席に乗り込もうと、ドアの取っ手に手をかけたところで娘の膝に乗っているミュウが見えた。
ミュウも一緒に来てくれたようだ。
僕がクルマに乗り込み、クルマは走り出した。
いつものミュウと違って、あたりをキョロキョロ見まわして落ち着きがない。
生まれてこのかた、外の世界を知らないんだからしょうがない。
走り出してすぐ、娘がミュウを僕に手渡してくれたので、後部座席の僕の横のシートに置いてみると、ミュウは窓に前足を掛けた格好で、窓外を見ながら、”わわわー、景色が流れてるー!”なんて言っている。
少し興奮して、一心不乱に風景を眺めている。
ミュウにとって、マンションの部屋の外の世界っていうのは未知の世界であり、目にするものすべてが新鮮なんだろう。
ミュウは今度は僕が座っているほうの窓に来て窓外の景色を眺めだした。興味津々である。
僕の目の前にミュウの横顔がある。目がキラキラしている。
どんな想いで景色をみているのか知りたい。でも、それは絶対にわからない。僕はそれがちょっと悲しい、なんて思いながらミュウの横顔を見ている。
マンションに到着し、抱っこしていたミュウを部屋に戻すと、ミュウはちょっとした冒険をしてきたような顔をしていた。
僕の洋服はミュウの毛だらけになっていた。
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